
ウッドフェンスに後悔する人が多いのは「木の性質」を知らないから
ウッドフェンスは、外構の中でも根強い人気を誇る素材です。
自然の温もり、経年変化の味わい、どんな建物にもなじむ柔らかな印象――。
しかしその裏で、「数年で腐った/色が落ちた/反ってきた」と後悔する声が後を絶ちません。
原因の多くは「木材の性質を理解しないままデザインだけで選んだ」こと。
この記事では、施工現場で実際に起きた失敗例をもとに、ウッドフェンスのデメリットとその対策を、素材ごとにわかりやすく解説します。
当社のフェンス施工事例は以下の記事で紹介しています。
ウッドフェンスで後悔する人が多い「5大リスク」
ウッドフェンスの魅力は天然素材ならではの質感ですが、同時に木の弱点を抱えます。
以下の5つが、設置後に最も多く寄せられる「後悔」の要因です。
① 腐食・シロアリ

雨や湿気を吸い込んだ木材は、数年で腐朽菌が繁殖します。
特に柱や板の木口(断面)から水が入りやすく、下端が黒ずんでボロボロになるのが典型的な症状。さらに地面付近の湿気でシロアリ被害が起こることも。
対策方法
- 地面に直接埋めない(支柱はアルミ・ステンレス製に)
- 下端を地面から50〜80mm浮かせる
- 木口には必ず防腐剤+シーラー処理
- 定期的に「塗料で防水膜を維持」する
② 反り・割れ
木は生きています。湿度が変化すると繊維が伸び縮みし、板が反ったり割れたりします。特に西日や乾燥風が当たる場所では顕著で、設置直後でも板が浮いたり隙間が広がったりします。
特に西日や乾燥風が当たる場所では顕著で、設置直後でも板のねじれ・ビスの抜け・目地の拡大が起きやすくなります。
対策方法
- 厚み20mm以上の板を使用
- ビス止め位置を端から20mm以上離す
- 幅100mmにつき隙間10〜15mm(目地率30〜40%)で通風を確保
- 長さ1.8mを超える場合は、伸縮逃げ(ジョイント隙間)を設ける
③ 色あせ・銀化(グレー化)

紫外線と雨に晒された木材は、2〜3年で色が抜けて灰色(銀化)していきます。ナチュラルな風合いが魅力と感じる方もいますが、ほとんどの人が「汚れて見える」と感じて後悔します。
対策方法
- 屋外用のUVカット入り浸透型オイルを使用
- 南向きなら年1回、北側は2年に1回の再塗装
- 濃色系塗料は紫外線耐性が高い
- メンテナンスが面倒なら木調アルミフェンスに切り替えも◎
④ 塗膜の剥がれ・ムラ

防水性を高めようとウレタンや造膜型塗料を使うと、2〜3年で塗膜が浮いてムラになります。塗り直しには研磨が必要で、コストも手間も跳ね上がる結果に。
対策方法
- 「浸透型オイル」タイプを採用(剥がれにくい・重ね塗り可)
- 再塗装時は軽く水洗い+乾燥でOK
- 吹付ではなく刷毛塗りで均一に染み込ませる
⑤ 維持費と時間の負担
天然木は放置できない素材。外観の美しさを維持するには、少なくとも年1回の点検と再塗装が必要です。10年単位で見ると、素材費よりも維持費の方が高くなるケースも。
対策方法
- 自分で塗るなら「春・秋の晴天日」を定期日に
- 範囲が広ければ木調アルミ+植栽MIXでメンテ箇所を減らす
- “DIYイベント化”して家族参加にするのも一案
- メンテ負担を減らしたい方は、下の「代替おすすめ素材」も検討
塗料の選び方(用途別早見表)
ウッドフェンスの仕上がりと耐久性は、塗料の種類で大きく変わります。「どれを選んでも同じ」と思われがちですが、浸透型・造膜型・水性・油性など特性はさまざま。ここでは目的別に最適な塗料タイプを一覧で整理しました。
| タイプ | 向いているケース | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 浸透型オイル | 木目を活かしたい/剥がれを避けたい | 重ね塗り可・ムラになりにくい | 色持ちは造膜より短い |
| 造膜型(ウレタン) | 高い防水性を重視 | 光沢と保護力が高い | 剥がれたら研磨必須、再塗装の手間大 |
| 水性アクリル | 臭い/環境配慮と作業性重視 | 乾きが早く扱いやすい | 屋外耐久は油性よりやや短い |
| 含浸タイプ保護塗料 | 防腐・防虫も同時に対策 | 防腐成分が内部に浸透 | 下地乾燥が甘いと効きが落ちる |
メンテナンス年次カレンダー(10年想定)
ウッドフェンスを長く美しく保つ秘訣は、「施工後の運用」にあります。下の表は、10年間を見据えたメンテナンスの目安をまとめたものです。どのタイミングで何をすれば良いかを把握しておけば、劣化を最小限に抑えられます。
| 時期 | 作業 | 目安時間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 毎春 | 表面洗浄・乾燥確認 | 1〜2時間/10m | カビ・藻を水洗い。乾燥後に状態チェック |
| 毎秋 | ビス増し締め・反り点検 | 1時間/10m | 端から20mm以上にビス、浮き板を早期補修 |
| 年1回 | 浸透型オイル再塗装 | 半日/10m | 南面優先。薄く2回塗りでムラ防止 |
| 3年目 | 小口シーラー再処理 | 1時間/10m | 木口吸水が劣化の起点。念入りに |
| 5年目 | 板の入替え(劣化部) | 半日 | 部分更新で全体寿命を延命 |
腐らせない設計と施工ディテール
施工段階での工夫ひとつで、寿命は倍以上変わります。ここでは現場で実際に効果がある「長持ちディテール」を紹介します。
| 項目 | 推奨仕様 | 理由 |
|---|---|---|
| 支柱構造 | アルミ・ステンレス製支柱+木貼り仕上げ | 木部を地面から隔離 |
| 板の隙間 | 10〜15mm(板幅100mmの場合) | 通風で乾燥・耐風アップ |
| フェンス下部 | 地面から50〜80mm浮かせる | 雨水・湿気の滞留防止 |
| 金物 | ステンレス or 溶融亜鉛メッキ | 錆・ガルバ反応の防止 |
| 塗装タイミング | 施工前・施工後の2回塗り | 木口吸い込みを防止 |
樹種別の耐久性とメンテナンス比較
ウッドフェンスに使われる代表的な木材を比較すると、寿命・価格・メンテ周期が大きく異なります。「柔らかい=安い=劣化早い」「硬い=高い=長持ち」を基本として考えておきましょう。
| 樹種 | 耐久性 | 防腐・防虫 | メンテ周期 | 10mあたりの目安費用 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 杉 | △ | 弱い | 年1回 | 約20万円 | 柔らかく加工しやすいが腐りやすい |
| レッドシダー | ○ | 普通 | 2年 | 約25万円 | 香りと風合いが人気 |
| イタウバ | ◎ | 強い | 3年 | 約30万円 | 南米材、油分多く耐久性高い |
| ウリン | ◎◎ | 非常に強い | 3〜5年 | 約40万円 | 水に沈むほど高密度、15年以上持つことも |
本記事の価格表記について
- ※費用は10m相当の材料+標準施工の概算。高さ・目地率・柱本数・現場条件により上下します。
- 正式な金額は現地確認後のお見積りにて確定いたします。
後悔した人の“現場あるある”3選
ケース1:支柱を木で施工 → 3年で根元崩壊
地面に直接木を埋めた結果、1年目から黒ずみ→3年目で根元が折れる。
→ 対策:アルミ支柱+木貼り化粧構造に。
ケース2:塗料をケチって1回塗り → 2年で色ムラ
浸透型オイルを1度塗りで済ませた結果、南面だけ色が抜けてツートンに。
→ 対策:初回は2度塗り+UVカット必須。
ケース3:全周囲ウッドにして圧迫感・維持負担倍増
デザイン優先で家を囲ったが、日当たり悪化・再塗装地獄に。
→ 対策:道路面のみ木、他面はアルミ+植栽のセミクローズ化。
天然木が合わない人におすすめの代替素材
ウッドフェンスの質感は魅力的ですが、「腐りやすい」「メンテが大変」と感じてしまう方も多いでしょう。
そんな方のために、近年では天然木の風合いを再現しつつ、耐久性とメンテナンス性を高めた素材が増えています。
ここでは、現場でも採用が多い代表的な3タイプをご紹介します。
木調アルミフェンス

- アルミに木目シートを施したタイプ。
- 見た目はウッド、耐久性は金属。
- メンテ不要、10年以上色持ち。
樹脂(人工木)フェンス

- デッキ材でおなじみの素材。
- 触り心地も近く、シロアリ・腐食なし。
- 直射日光で若干の熱持ちあり。
10年間の総コスト比較
| 項目 | 天然木(杉) | 木調アルミ |
|---|---|---|
| 初期費用(10m) | 約20万円 | 約30万円 |
| メンテ塗装 | 約10万円/10年(3回塗装) | ほぼ不要 |
| 経年劣化 | 反り・色落ちあり | 安定 |
| 手間 | 多い | 少ない |
| 総コスト(概算) | 約30万円 | 約30万円(維持費ほぼゼロ) |
👉 10年で並ぶ計算。「木の風合いを取るか、維持のラクさを取るか」が判断基準になります。
本記事の価格表記について
- 表示価格は福岡県北部エリア基準の材料+標準施工の想定で記載しています。
- 敷地条件(高さ・延長・柱ピッチ・地中障害・搬入経路 等)により±30%以上変動する場合があります。
- 正式な金額は現地確認後のお見積りにて確定いたします。原材料の市況に応じて予告なく改定します。
DIYか業者依頼か、判断ポイント

時間・安全・耐久性のどれを優先するかで最適解は変わります。DIYは初期費用を抑えやすい一方、支柱の精度や防腐処理を誤ると“数年で傾く・腐る”リスクが上がります。逆に業者依頼は費用は上がるものの、構造精度・保証・工期の確実性が得られます。以下のポイントを踏まえ、ご自身に合う選択肢を30秒で判断しましょう。
ポイント
- 支柱の垂直精度・根巻き30〜40cmを確実に施工できる → DIY可
- 電動工具・トルク管理・水平器が揃う → DIY可
- 地中障害(配管/礫/転圧不足)のリスク説明を理解 → DIY可
- 上記のいずれかに不安あり → 業者依頼が安全で結果的に低コスト
…逆に業者依頼は費用は上がるものの、構造精度・施工保証・工期の確実性が得られます。
5分でできる“高さと範囲”の簡易シミュレーション

施工前にスマホでできる簡単チェック。「自宅に最適な高さ」と「必要な施工範囲」を家族と共有できます。
- メジャーと1.8mの棒(または脚立)を用意。
- 視線が気になる方向に立て、目線の高さからスマホで撮影。
- 画像上で1.2m/1.6m/1.8mのラインを比較して、どの高さで視線が切れるかを確認。
チェックのコツ
● 視点は「道路の立位」「ウッドデッキの座位」「隣家2階の見下ろし」の3視点。
● 高くしすぎるほど費用も圧迫感も増加。必要最小限が正解です。
境界・高さ・法的注意(トラブル未然防止)

フェンスは自地内設置が原則。越境やメンテ通路不足は将来トラブルの火種になります。地域によっては高さ2m超で工作物の扱い・手続きが必要になる場合も。迷ったら自治体や専門業者に確認を。
ウッドフェンスのよくある質問(FAQ)
ウッドフェンスに関して、お客様からよくいただく質問をまとめました。
Q1. ウッドフェンスは何年くらい持ちますか?
使用する木材と環境により異なりますが、一般的な杉材で5〜8年、ハードウッド(ウリン・イタウバ)なら10〜15年が目安です。定期的な塗装と防腐処理を行えば、さらに長持ちします。
Q2. 雨や湿気が多い地域でも大丈夫?
湿気が多い地域(例:福岡・九州沿岸部)では、地面との接触を避けることが重要です。支柱をアルミ製にする・板を地面から5cm以上浮かせるなどの施工を行えば、耐久性を大きく改善できます。
Q3. メンテナンスはどのくらいの頻度で必要?
年1回の再塗装と、年2回の点検が理想です。特に南面や西面など直射日光が強い場所は劣化が早いため、早めのケアが推奨されます。
Q4. 木調アルミフェンスと見た目の違いはありますか?
近年の木調アルミは質感が非常に高く、2〜3m離れると天然木と見分けがつかないレベルです。ただし、手触りや経年変化の風合いは本物の木に軍配が上がります。
Q5. DIYでも施工できますか?
DIYも可能ですが、支柱の垂直精度や防腐処理が不十分だと、1〜2年で傾く・腐るリスクがあります。長期的に見れば、外構業者に依頼した方が結果的にコストを抑えられるケースが多いです。
まとめ:素材の理解が“後悔ゼロ”への近道
ウッドフェンスは、「自然の風合い×高メンテナンス性」という両刃の剣。きちんと素材を理解し、設計・施工・塗装・維持の4ステップを意識すれば、10年以上美しい姿を保つことも可能です。
🌿 天然木は手がかかる。だが、手をかけた分だけ表情が深くなる。
「我が家はどの素材・構造が最適?」という方は、現地確認+お見積り(完全無料)をご利用ください。日射・風向・視線方向まで考慮し、後悔のない一案をご提案します。
以下の記事では様々なフェンスの種類を紹介しています。
お問い合わせは
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この記事を書いた人
ガーデンプランニングオフィス
ONE LINE(ワンライン) 株式会社
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